ジュニアテニス選手登録者は2025年増加も、三大都市圏(関東・東海・関西)で減少、関西と東海は毎年減少の謎を紐解く

日本テニス協会は、協会の登録者数を記録したテニス環境等実態調査 報告書を毎年開示しています。

当報告書によると、2025年のジュニアテニス選手の協会登録者数は全国合計で54,682人となりました。2024年の52,405人から2,277人増えており、数字だけを見ると、2024年に落ち込んだジュニア登録選手数が少し持ち直したように見えます。報告書で記されている情報は前年比較だけですので、ここまでの情報を合わせて整理すると下記になります。

ただ、数字を整理して、上記グラフををじっと眺めていると、気づきましたよ。
前年増加といっても、何やら傾向があるなあと。
関東は増えていない、あれ、関西減っているなあ、、よく見ると東海も減ってるなあ!
日本の三大都市圏は揃って減少しています。

よく見ると確かに2025年、全国合計では増えているものの、地域別に分けて見ると、増減には一定の傾向が見受けられます。また、その前までの推移も比較すると、また変わってきます。

世の中で誰も触れていませんが、この傾向、面白くないですか?
さて、数字に基づき深堀していきます。

目次

前年比で関東・東海・関西では減少、その他エリアでは増加

まず、関東・東海・関西の3エリアをまとめて整理してみました。
2024年は32,807人でしたが、2025年は30,370人となり、2025年も実は1,717人も減少しています。
ここ4年、毎年減り続けています。
一方で、それ以外のエリアは2024年の20,500人から2025年は24,312人へ増え、3,812人もの大幅増加となりました。
つまり、2025年の全国合計は2,277人増えていますが、その増加は関東・東海・関西が押し上げたものではありません。むしろ主要3エリアは減少しており、それをその他エリアの増加が上回ったことで、全国合計がプラスになった形です。
地域別に見ると、2025年は九州が前年比1,553人増、四国が806人増、東北が751人増、中国が494人増と、関東・東海・関西以外の伸びが目立ちます。一方で、関東は338人減、東海は472人減、関西は725人減となっており、テニス人口の多い主要エリアで減少が続いている点は見逃せません。

次に、関東は単年度では減少したものの、4年間で増減を繰り返しながらほぼ横ばいでしたので、分離してみたら下記のようになりました。

はっきりしましたね。関東は過去数年の推移ではほぼ一定と言えます。
徐々に傾向が見え、増減がどこから来ているのか絞れてきました。

ジュニアテニス人口は、関東は増えていないけど、概ね横ばいで健闘。
東海・関西は明らかに減少している。その他エリアは、増減幅が大きい。

関西・東海の減少が大きい、、、なぜでしょうね。最近の子供人口の影響がある可能性もあります。
あとはイベントの盛り上がりの有無でしょうか。たった4年で20%も減少しています。

ただ、当HPで色々書いていて思う所はあります。
やはり関東は大会・イベントのネタが多い。関西・東海はどう考えても絶対数が相対的に少ない。
このあたりが影響している可能性もありますね。

男子も女子も同じ傾向

減少傾向は、男女とも同様でしたが、男女で違いが見受けられます。

男子では、関東・東海・関西エリアが2024年の20,751人から2025年は19,666人へ減少しました。減少幅は1,085人です。一方で、その他エリアは12,517人から14,694人へ増え、2,177人の増加となっています。男子全体では33,268人から34,360人へ増えていますが、増加を支えたのは関東・東海・関西ではなく、その他エリアでした。

女子でも同じ構図ですが、減少幅は緩やか。
関東・東海・関西エリアは、2024年の11,154人から2025年は10,704人へ減少しました。減少幅は450人です。一方で、その他エリアは7,983人から9,618人へ増え、1,635人の増加となっています。女子全体では19,137人から20,322人へ増えていますが、こちらも増加の中心はその他エリアです。

男女ともに「全国合計では増加」「関東・東海・関西では減少」「その他エリアでは増加」という同じ傾向が出ています。男子だけの現象でも、女子だけの現象でもありません。ジュニアテニス全体として、地域によって登録者数の動きが分かれていると見るべきだと思います。

なぜ地域によって差が出ているのか

この理由について、JTAの報告書では明確な分析までは示されていません。
地域別の登録者数は掲載されていますが、その背景までは述べられていません。

以下、推定が入りますが、何かしら遠因になっているのもあるのでは、と推察します。

まず、日本の子供の絶対数は減り続けている。このため、相対的なテニス人気が同じであっても、自然減するのがデフォルト。

次に、関東地方が減っていない要因が何か。
テニスの企画・イベントが都心部に集中していることで全体的な押し上げ効果がある可能性。

次に、都心部で考えられる全体的な下記押し下げ効果。

まず考えられるのは、都市部における進路選択や習い事の多様化です。
関東・東海・関西の都市圏では、中学受験熱が強く、学年が上がるにつれて競技テニスに使える時間が減る家庭も多いと考えられます。ジュニアテニスは、練習時間だけでなく、試合会場への移動、遠征、道具代、レッスン費用など、家庭側の負担も大きい競技です。そのため、勉強や他の活動との両立が難しくなると、登録を継続しない選手が出てくる可能性があります。

また、都市部では子どもの選択肢が非常に多いことも影響しているかもしれません。サッカー、野球、バスケットボール、ダンス、英語、プログラミング、音楽など、子どもが取り組める活動は年々広がっています。
テニスと親和性あるピックルボールやパデルも徐々に存在感を増しています。体は一つですから、何に取り組むか、という点では競合になります。
テニスそのものの魅力が下がったというより、限られた時間の中で「競技テニスを続けるか」「趣味として楽しむか」「別の活動に比重を移すか」という選択が早い段階で起きているのかもしれません。

もう一つ考えたいのが、地域ごとの普及活動や登録促進の差です。
2025年に東北、四国、九州、中国などで登録者数が大きく増えていることを見ると、地域協会、スクール、クラブ、大会運営側の取り組みが数字に表れた可能性もあります。
特にジュニア登録選手数は、単純な競技人口だけでなく、登録して大会に出る子がどれだけいるか、という数字でもあります。つまり、実際にテニスをしている子がいても、公式大会に出なければ登録者数には反映されにくい面があります。逆に、地域で大会参加を促したり、低年齢向けの大会やカラーボール大会を整備したり、スクールから協会登録につなげる仕組みができていれば、登録者数は増えやすくなります。

その意味では、その他エリアの増加は「地域のテニス協会や関係者の努力が反映された結果」という見方もできます。ただし、これも報告書内で明確に因果関係が示されているわけではありません。あくまで、数字から読み取れる可能性の一つです。
しかし、その他エリアは増減幅が大きく、安定しません。集計の仕方が影響している可能性も否定できません。

JTA報告書には、小学校でのテニピン体験後にテニスを始めたかどうかを調べた児童保護者向け調査も掲載されています。この調査では、テニスを始めていない理由として「ほかの習い事をしているから」「興味がないから」「自由な時間が減ってしまうから」「近所にテニスができる場所がないから」などが挙げられています。これは地域別の減少理由を直接説明するデータではありませんが、ジュニア世代にとってテニスが他の習い事や家庭の時間配分と競合していることを示す材料にはなります。

特に都市部では、通塾、学校行事、他競技、習い事、移動時間が重なりやすく、競技テニスを続けるには家庭全体の覚悟が必要になります。子ども本人がテニスを好きでも、時間や費用、移動、進路との兼ね合いで、登録を続けにくくなるケースは十分に考えられます。

皆さまはどのような感想を持ちましたか?
この数字の傾向自体は事実です。この理由が明確になり、成功事例を追って数字で追っていけば、ジュニアテニス人気復権のきっかけになるのでは、と思います。難しいのはそもそも子供の人口が減っている点。
絶対数が減るのであれば、増やすのは容易ではありません。目先の数字だけでなく、環境要因も踏まえて考えていく必要はあるでしょう。

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