子供(小学生~中学生)の身長はどう伸びる?:プロテニスプレイヤーの身長を知り、遺伝・睡眠・栄養・成長期のメカニズムを科学的に考える

ジュニアテニスに限らずスポーツ全般に共通することですが、同じ学年でも体格差はとても大きく、スポーツにおいては絶大な影響を及ぼします。大谷翔平選手だって、メジャーで160キロを超える投球と、年間50本を超えるホームランの両立という人並外れた驚異的な成績は、193センチの身長と95キロという体格があってこそでしょう。

この点、小学生のうちから大人びた体格の子もいれば、中学生になってから一気に背が伸びる子もいます。
特にテニスでは、身長が高いとサーブやリーチの面で有利に運ぶことがあり、これが原因で伸び悩んでしまうこともあります。逆に言うと、小学生の間は、努力(練習時間)でカバーできる範囲が大きく、気付きにくいです。

うちの子は背が低いけれど大丈夫だろうか、と気になる家庭も多いと思います。
ただ、身長は努力だけで自由に変えられるものではありません。背が伸びる仕組みには、遺伝、成長板、ホルモン、睡眠、栄養、思春期のタイミングが関係しています。大切なのは、特別な方法で無理に伸ばすという考え方ではなく、成長期に本来の伸びを邪魔しない生活を整えるという考え方です。
幸いにして、小学生であればまだまだ間に合います。逆に言うと、高校生以降であればもう特効薬はなく、知人や友人同士でこの相談をしても「身長だけじゃないよ、ドンマイ!」といった趣旨の総括をされるはずです。

我が家は既に年齢的に成長期後期です。
理論的にわかっていても、それが運用できるか別の話。子供は別人格ですからね、、
もっとできる事があったなあと思う事もしばしば。

本人の自覚も大事ですので、後で後悔しないようにできることを話しておきたいと思います。

目次

日本の著名プロテニス選手・身長一覧

区分選手身長主な実績・補足
男子ダニエル太郎191cmATPツアーシングルス優勝経験あり。日本男子の中ではかなり高身長。
男子松岡修造188cm元ATP自己最高シングルス46位、日本人男子初のATPツアーシングルス優勝者。
男子伊藤竜馬180cm元ATP自己最高シングルス60位。
男子錦織圭178cmATP自己最高シングルス4位、ATPツアー12勝、グランドスラム準優勝経験あり。
男子添田豪178cm元ATP自己最高シングルス47位、ロンドン五輪日本代表。
男子杉田祐一175cmATPツアーシングルス優勝経験あり。
男子西岡良仁170cmATPツアーシングルス3勝、自己最高シングルス24位。日本男子トップ級では小柄な代表例。
女子大坂なおみ180cmグランドスラム4勝、シングルス世界1位経験者。
女子沢松奈生子168cm前後元WTA自己最高シングルス14位、WTAツアーシングルス4勝。
女子杉山愛163cm前後WTA自己最高シングルス8位、ダブルス世界1位、グランドスラム複数優勝。
女子伊達公子163cm前後WTA自己最高シングルス4位、日本女子屈指のレジェンド。
女子日比野菜緒163cmWTAツアーシングルス3勝、五輪出場経験あり。
女子本玉真唯164cmWTA自己最高シングルス105位。
女子土居美咲159cmWTA自己最高シングルス30位、WTAツアーシングルス優勝経験あり。
女子奈良くるみ155.5cmWTA自己最高シングルス32位、WTAツアーシングルス優勝経験あり。

まず、実際の事例から。
身長が絶対ではない。しかし、有利不利という点では傾向が見えてきます。
男子では170cm、女子は奈良くるみ選手を例外として、160cmが一つの目安と言えそうです。
これ以下で強ければ、背が高くないのに強いという表記をされることが増えてきます。

特にジュニアでは、小学生の間は練習量で圧倒して勝てていても、中学生になったら背やフィジカルで圧倒されてしまうことが多々あります。そして、子供も多感ですので、ここで追い抜かされることで、自身の自信喪失に繋がってしまうこともあります。

このような事情から、ジュニアテニス界隈では、保護者の身長に対する意識が非常に強くなっています。
遺伝だけはどうしようもないので、親の関心は自然と睡眠と栄養に行くことが多いですね。

では、本論に入ります。

身長が伸びる中心は「成長板」

身長が伸びるというのは、主に手足や背骨などの骨が長くなることです。
子どもの骨の端には「成長板」と呼ばれる軟骨の層があり、そこで軟骨細胞が増え、成熟し、やがて骨に置き換わることで骨が縦方向に伸びていきます。つまり、身長が伸びる時期とは、この成長板がまだ働いている時期ともいえます。思春期に入ると、成長ホルモンや性ホルモンの影響で一時的に身長の伸びが加速しますが、思春期の終盤には成長板が閉じていきます。成長板が閉じると、骨を長くして身長を大きく伸ばす余地はほとんどなくなります。ここが、身長を考えるうえで最も大事なポイントです。成長期のうちは生活習慣や栄養状態が成長を支える意味を持ちますが、成長期を過ぎてから「骨そのものを長くする」ことは基本的に期待できません。

遺伝の要素はかなり大きい

まず、現実から。
身長には遺伝の影響が大きく関わります。

親の身長から子どもの将来身長をある程度予測する考え方もあり、もちろん兄弟姉妹でも差は出ますが、身長は体質的な要素が強いと考えるのが現実的です。
一方で、遺伝だけで完全に決まるわけでもありません。睡眠不足、栄養不足、慢性的な病気、過度なエネルギー不足などが続けば、本来持っていた伸びしろを十分に発揮できない可能性があります。つまり、遺伝でほぼ決まるから何をしても無駄というわけでもなく、努力すれば誰でも大きく伸ばせるでもありません。家庭でできることは、遺伝の枠を無理に超えようとすることではなく、成長期に必要な睡眠・栄養・回復をきちんと確保し、子どもが本来持っている成長の可能性を邪魔しないことです。

睡眠は何時間必要か

身長の話になると、よく寝る子は育つと言われます。これは完全な迷信ではありません。
睡眠中には成長ホルモンの分泌が高まり、体の修復や発達に関わります。ただし、「何時に寝れば何cm伸びる」「夜10時から2時だけ寝ればよい」というような単純な話ではありません。
大切なのは、年齢に合った十分な睡眠時間を、毎日の生活の中で安定して確保することです。米国睡眠医学会は、6〜12歳は1日9〜12時間、13〜18歳は1日8〜10時間の睡眠を推奨しています。これは身長だけでなく、集中力、学習、メンタル、肥満リスク、ケガの回復にも関わる目安です。

ジュニアテニスの家庭で考えるなら、小学生は9時間以上、中学生・高校生でも最低8時間、できれば9時間前後を目標にしたいところです。たとえば朝6時30分に起きる小学生なら、21時〜21時30分には寝る流れを作らないと9時間を切りやすくなります。中学生で朝6時30分起床なら、22時〜22時30分就寝でも8時間前後です。夜練習がある日、帰宅後に食事・入浴・宿題をすると、あっという間に寝る時間が遅くなります。週に数回なら調整できますが、慢性的に睡眠不足が続くと、疲労が抜けにくくなり、食欲低下や集中力低下、ケガにもつながります。身長を伸ばすためだけでなく、成長期の体を回復させるために、睡眠は最優先で考えたい土台です。

栄養は「これだけ食べれば伸びる」ではない

身長を伸ばす栄養というと、カルシウムや牛乳を思い浮かべる人が多いと思います。もちろんカルシウムは骨にとって大切ですが、身長はカルシウムだけで決まるものではありません。骨や筋肉の材料になるたんぱく質、練習や日常生活のエネルギー源になる炭水化物、ホルモンや細胞膜に関わる脂質、骨形成を助けるビタミンD、血液や酸素運搬に関わる鉄、成長や免疫に関わる亜鉛など、複数の栄養素が必要です。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」は、2025年度から2029年度まで使われる基準として公表されており、年齢・性別ごとにエネルギーや栄養素の目安が示されています。
成長期に特に意識したい栄養素の目安を、10〜17歳に絞って整理すると次のようになります。数値は1日あたりの目安で、たんぱく質・カルシウム・鉄・亜鉛は主に推奨量、ビタミンDは目安量として考えます。運動量の多い子は、エネルギー消費が大きくなるため、まず総摂取エネルギーが足りているかも重要です。

年齢性別エネルギー目安
(スポーツ選手)
たんぱく質カルシウム亜鉛ビタミンD
10〜11歳男子2,500kcal45g700mg9.5mg8.0mg8.0μg
女子2,350kcal50g750mg9.0mg※7.5mg8.0μg
12〜14歳男子2,900kcal60g1,000mg9.0mg8.5mg9.0μg
女子2,700kcal55g800mg8.0mg8.5mg9.0μg
15〜17歳男子3,150kcal65g800mg9.0mg10.0mg9.0μg
女子2,550kcal55g650mg6.5mg8.0mg9.0μg
※月経あり12.5mg

成長期の体に必要なのは、単独の栄養素ではなく、食事全体のバランスです。
たんぱく質なら肉、魚、卵、大豆製品、乳製品を毎食どこかに入れる。カルシウムなら牛乳、ヨーグルト、チーズ、豆腐、小魚、小松菜などを組み合わせる。鉄なら赤身肉、魚、卵、大豆製品、ほうれん草などを意識し、特に月経が始まった女子は貧血にも注意する。ビタミンDは魚や卵、きのこ類に加え、日光を浴びる生活とも関係します。

ただし、これらを毎日すべて完璧に管理しようとすると、家庭の食事がかなり窮屈になります。大事なのは、栄養素を一つずつ計算して埋めることではなく、成長期の体に必要な「量」と「材料」が不足していないかを見ることです。特にテニスをしている子の場合、練習量が多いのに食事量が足りない、朝食を抜く、体重を気にして主食を減らす、練習後に補食を取らない、といった状態のほうが問題になりやすいです。普通に食べているつもりでも、運動量が多ければ成長に回すエネルギーが足りなくなることがあります。

成長期の食事では、まず主食をしっかり取ることが大切です。ごはん、パン、麺、いも類などの炭水化物は、練習で動くためのエネルギー源になります。ここが不足すると、体は成長や回復に回す余裕を持ちにくくなります。そのうえで、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などのたんぱく質を毎食入れ、野菜、果物、海藻、きのこ類などでビタミンやミネラルを補う。難しいメニューを作る必要はなく、ごはん、味噌汁、卵、納豆、魚や肉のおかず、ヨーグルト、果物といった普通の食事を、抜かずに続けることのほうが大切です。

練習前後の補食も、成長期の子には重要です。夕方から夜にかけて練習がある場合、学校の昼食から夕食まで時間が空きすぎることがあります。その状態で長時間動くと、エネルギー不足になりやすくなります。練習前なら、おにぎり、バナナ、パン、カステラ、ヨーグルトなど、消化しやすいものを少し入れる。練習後に夕食まで時間が空くなら、牛乳、ヨーグルト、サンドイッチ、おにぎり、ゆで卵などを補食として使うと、回復と成長の材料を補いやすくなります。

サプリやプロテインは、最初から中心に考える必要はありません。
一方で、必要以上に避ける必要もありません。もちろん、基本は毎日の食事です。ただ、テニスの練習量が多い子の場合、食事だけでたんぱく質を十分に取るのが難しい日もあります。実際に、全国大会や全日本ジュニアの上位で戦うような選手でも、練習後の補食やリカバリーの一つとしてプロテインを取り入れているケースは珍しくありません。大切なのは、あくまで食事を補うための選択肢として使うことです。
特に練習後は、体がエネルギーやたんぱく質を必要としているタイミングです。帰宅してから夕食まで時間が空く日や、練習後にしっかり食べる余裕がない日には、牛乳、ヨーグルト、おにぎり、サンドイッチなどと同じように、プロテインやサプリを補食の一つとして考えると良いでしょう。最近はジュニアでも飲みやすい味や、成長期に不足しやすいカルシウム・鉄・ビタミンDなどを一緒に補えるタイプもあります。食事だけでは少し不安がある家庭にとっては、うまく使えば心強いサポートになります。

スポーツをする子は「消費量」にも目を向ける

成長期の子どもは、体を大きくするためのエネルギーと、日常生活、学校生活、スポーツで使うエネルギーの両方が必要です。特に週に何度もテニスをしている子は、一般的な活動量の子よりも消費が大きくなります。練習量が多いのに食事量が少ないと、体は成長に回す余裕を失いやすくなります。これは「たくさん練習すれば強くなる」という単純な話と矛盾する部分です。練習で体に刺激を入れることは大切ですが、成長期には、食べること、寝ること、回復することまで含めてトレーニングです。
実際の食事では、朝食を抜かないこと、毎食に主食、主菜、副菜を入れること、練習前後に補食をうまく使うことが現実的です。朝食であれば、ごはんと卵、納豆、味噌汁、ヨーグルトのような形でも十分です。練習前であれば、おにぎり、バナナ、パンなど、動くためのエネルギーになるものを入れる。練習後であれば、夕食までのつなぎとして牛乳、ヨーグルト、サンドイッチ、おにぎり、ゆで卵などを使う。こうした小さな積み重ねが、成長期の体には大きく影響します。
体重が不自然に減っている、疲労が抜けない、集中力が落ちている、ケガが増えている、女子で月経不順がある場合は、食事量や回復が足りていないサインかもしれません。特にジュニアテニスでは、試合で動ける体を作ることと、成長期の体を守ることを同時に考える必要があります。食事を減らして体を軽くしようとするより、しっかり食べて、しっかり動いて、しっかり回復する。その土台があってこそ、練習の効果も出やすくなると思います。

男女で背が伸びやすい時期は違う

身長の伸び方で大切なのが、男女のタイミングの違いです。一般的に女子のほうが早く思春期に入り、身長の伸びのピークも早く来ます。女子は、個人差はありますが、8〜13歳ごろに思春期が始まり、10〜12歳前後に身長の伸びが大きくなることが多いです。初潮の前後で伸び方が変わることも多く、初潮後もしばらく伸びるものの、伸び幅は徐々に小さくなっていく傾向があります。
男子は女子より遅れて、10〜14歳ごろに思春期が始まり、12〜15歳前後に成長スパートが来ることが多いです。小学校高学年から中学生前半では、女子のほうが大きく見える時期があります。その後、男子が追いつき、追い越していくこともよくあります。もちろん、これにはかなり個人差があります。早く伸びる子もいれば、中学生の後半から高校生にかけて伸びる子もいます。同じ学年でも体格差が大きいのは、努力不足ではなく、成長のタイミングが違うからです。
テニスで見ると、この差はかなり大きく出ます。小学生の大会では、早熟の子が体格、パワー、サーブで優位に立つことがあります。一方で、晩熟の子はその時期に苦戦することもあります。しかし、成長のピークが後から来る子もいるため、低学年や小学生の段階で「小さいから不利」「体格がないから無理」と決めるのは早すぎます。むしろ、体が小さい時期にフットワーク、タイミング、配球、粘り、リターン力を磨いておくと、後から体が伸びたときに大きな武器になることもあります。

最後にグッと伸びて、やがて止まる

身長は毎年同じペースで伸びるわけではありません。乳幼児期に大きく伸び、その後は少し落ち着き、思春期にもう一度グッと伸びる時期が来ます。この「成長スパート」は、身長を記録している家庭ほど気づきやすいです。たとえば、しばらく年間4〜5cm程度だった伸びが、ある時期に年間8〜10cm近くになることがあります。その後、伸び幅が少しずつ小さくなり、最終的にほとんど止まっていきます。
家庭でできる一番簡単な確認方法は、身長を記録し続けることです。月1回または2か月に1回、同じ時間帯、同じ場所、同じ条件で測るだけでも十分です。朝と夜では身長が少し変わることがあるため、できれば測るタイミングをそろえます。記録を続けると、「今は伸びている時期だな」「最近伸び幅が落ち着いてきたな」という変化が見えてきます。
身長だけでなく、体重も一緒に記録しておくと、より分かりやすくなります。身長が伸びているのに体重が増えていない、練習量が多い時期に体重が落ちている、疲労感が強い、ケガが増えているといった場合は、食事量や回復が足りていない可能性もあります。特にジュニアスポーツでは、身長、体重、練習量、疲労感、ケガの有無を一緒に見ておくと、成長期の負荷管理にも役立ちます。

成長期を終えてから伸ばそうとしても遅い

ここは、かなりはっきり書いておきたいところです。成長期を終え、成長板が閉じた後に、ストレッチ、整体、サプリ、特別な運動、睡眠法などで骨そのものを長くして身長を大きく伸ばすことは基本的に期待できません。姿勢が良くなったり、猫背が改善したり、測定条件によって数mm〜1cm程度高く出たりすることはあります。しかし、それは骨が長くなって身長が伸びたのとは別の話です。
身長はコンプレックスになりやすいテーマです。だからこそ、「大人でも身長が伸びる」「成長期を過ぎても数cm伸ばせる」「秘密のメソッドがある」といった言葉には注意が必要です。特に、身長への不安をあおって高額な教材、サプリ、施術、根拠の薄いトレーニングに誘導する情報は少なくありません。子どもの身長に不安がある家庭ほど、そうした情報に引き寄せられやすくなります。
成長期の子どもであれば、睡眠、栄養、生活リズムを整える意味はありますし、低身長や成長の遅れが心配な場合は、小児科や小児内分泌の医師に相談する価値があります。特に、急に伸びが止まった、成長曲線から大きく外れている、極端に思春期が早い・遅い、体重が増えない、疲労感が強いといった場合は、自己判断でサプリや民間メソッドに頼るより、医療機関で相談したほうが安心です。一方で、成長期を過ぎた後は、身長そのものを無理に変えようとするより、姿勢、筋力、動き方、プレースタイル、自分の強みを作る方向に目を向けたほうが現実的です。

真っ当に、適切なタイミングで、規則正しい生活を送り、健やかに身長を伸ばして頂ければと思います。

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