2025年12月5日、ヨネックスは新しいVCORE(Vコア)シリーズ発売を正式に発表しました。2026年1月中旬より発売予定です。丁度先日バボラがピュアアエロの新作を匂わせて来たので、ジュニアラケットのスピン会の横綱が揃って新作リリースとなります。
新VCOREのコンセプトは 「SPIN ACCESS GRANTED(すべての人へスピン性能を)」。
今回の特徴を見ると、このコンセプト通り、従来の「振れる人が使うスピン系」というイメージを越えて、スウィングタイプが異なるプレーヤーでも、自然と回転がかかる構造 になっています。
ジュニアテニスを現場で見ていると、スピンをかけたいけど、どうしてもフラット気味になったり、体が小さくてスピン量が安定しない悩みを抱える子はとても多いです。このあたり、技術向上途上にあるプレーヤーでも、ラケット側が助けてくれるかどうか、注目して、できるだけわかりやすく解説して特徴を深堀します。
新VCOREの特徴を専門的に深掘り
公式サイトでは多くの技術キーワードが並んでいますが、
ここでは「それが実際プレーにどう効くのか」を科学的にかみ砕いて解説します。
特徴①:シリーズ史上最大のスウィートエリア

ヨネックスラケット共通テクノロジー:独自の形状理論「アイソメトリック®」
ヨネックス共通のアイソメトリック(スウィートエリアを拡大させる独自の形状理論)を採用しています。
縦横のストリングの長さが均等になるようにし、一般的な円形ラケットと比較して上下左右とも、7%広いスウィートエリアを実現しています。
今回のVCOREは、上部フレームの形状を見直すことで過去最大のスウィートエリア を実現しています。
なぜスウィートエリアが大きいとスピンが増えるの?
スピンを生み出すには
「打点の安定 × 打球面がボールをしっかり押さえる時間」
が重要。
ところが、ジュニアの試合を見ていると、
・打点がバラつく
・打点が上にズレる傾向が多い
という現象は日常茶飯事。
そこで今回、上部フレームを厚く&広く配置 することで、
トップ寄りの打点でも“失速しづらく、たわみが均一に働く”仕組みになっています。
結果として、
- ボールを長くホールドできる
- 打点のズレによるミスヒットが減る
- スピン軌道が安定する
という恩恵があります。
ジュニアの「打点ズレが即ミスにつながる問題」をかなり軽減してくれる構造と言えます。
特徴②:内溝構造の拡張によるホールド性能UP

ヨネックスは伝統的に「ボールを持つ感覚(ホールド)」に強いメーカーですが、今回のVCOREでは 内溝(インナーフレームの削り構造)を広げる ことで、フレームが縦方向にしなる量(縦のたわみ)が増えています。
科学的に言うと?
ホールド時間(ボールがストリング上に存在する時間)が増えると、
- ボールとの摩擦力(グリップ力)が増す
- スナップバック(横方向の戻り量)が大きくなる
という物理現象が起こります。
つまり今回の構造は
“しなる→グリップする→一気に戻る”
という連動動作を強化した設計 と言えます。
ジュニアでよくある「ボールが弾かれてしまう」「薄く当たって抜ける」という打球が減り、ラケット側から回転を加える補助をしてくれるので、技術習得の段階でもスピンの感覚を掴みやすくなると期待。
特徴③:新構造グロメットでストリングの可動域UP

今回のVCOREで非常に興味深いのが
ストリングの可動域(振れ幅)が広がっている点。
ストリングの可動域が広がる → 戻る力=スナップバックが増える
この関係は、今どのメーカーも追求していますが、ヨネックスはこれをグロメット形状、内部角度、フレーム柔構造
の三方向から大きく伸ばしてきました。
何がすごいのか?
たとえるなら「トランポリンが良く跳ねるようになった」状態です。
スナップバックはスピンの主役とも言える現象で、
プロ選手の高回転はこの“戻り力”の恩恵が非常に大きい。
それを誰でも再現しやすいように調整したラケットという意味で、
今回のVCOREはかなり革新的です。
特徴④:独自カーボン技術の組み合わせ(安定×パワー×怪我配慮)

VCOREというとスピン特化という印象がありますが、今回のモデルは安定性(ブレにくさ) と パワー の両立にも重きを置いています。
ジュニアだと、スピンラケットにありがちな「軽いけどブレる」「飛ばしたいけど打ち負ける」という弱点が目立ちます。
新VCOREは、シャフト部の剛性強化、トップとヨークのカーボン最適配置により、インパクト時の“ねじれ”が抑制される構造になっています。
スピン特化ラケットでありながら、ボールに負けない芯の強さ を感じやすいのが今回の特徴です。
加えて、ジュニアにとって腕に優しい設計となっています。
これは、柔らかいだけではなく、衝撃の伝わり方を最適化しているためです。
ジュニアの腕に優しい理由
ラケットの衝撃は、単純な「強い・弱い」だけではなく、周波数(振動の種類)によって人体への負担が変わります。
特に前腕・手首・肘が未発達なジュニアは、
・高周波のビリビリとした刺激
・面ブレによる低周波の“ねじれ振動”
に弱く、これが「手が痛い」「肘が響く」の原因になることが多いです。
新VCOREでは、
① SERVO FILTER(柔らかいカーボン設計)
② 2G-Namd Flex Force(高剛性カーボン)
③ VDM(振動吸収メッシュ)
という異なる性質の素材を フレーム・ヨーク・シャフト・グリップの位置ごとに配置 し、「消したい振動は消し、必要な情報だけ残す」という“周波数コントロール型”の設計になっています。
これはジュニアにとって非常に大きなメリットです。
手に優しいメカニズム
| 技術 | 吸収する振動 | ジュニアへの効果 |
|---|---|---|
| SERVO FILTER | 高周波(ビリッとした刺激) | 手首や肘への瞬間的ストレスを軽減 |
| 2G-Namd Flex Force | 低周波の面ブレ・ねじれ振動 | 手首の負担↓、安定した打球感 |
| VDM | 広い帯域の振動 | グリップでの響きを抑えて安心感 |
① SERVO FILTER(フレーム上部の柔らかいカーボン)
SERVO FILTERは高周波振動(ビリビリ成分)を減衰させる能力 に優れています。
高周波成分は、衝撃の伝わりが速い、神経を刺激しやすい、ジュニアは筋肉量が少なく吸収しにくいという特性があります。
SERVO FILTERがフレーム上部に使われていることで、
打球直後の“鋭い刺激”がグリップに伝わりにくくなる → 手の負担が軽減。
これは「優しい打球感」に直結します。
② 2G-Namd Flex Force(ヨーク・シャフトに使用)
こちらは“剛性が高いカーボン”。
一見「硬い=手に優しくない」と思われがちですが、実際は逆です。
ラケットは「しなる部分」と「しならない部分」を適切に分けることでフレーム全体の振動モード(揺れ方)を安定化 できます。
シャフト部分が柔らかすぎると
- 打点がぶれる
- 面のねじれが大きくなる
- 手首や肘への負担が増える
という現象が起こります。
2G-Namdでシャフトの剛性を上げることで、“ねじれブレによる低周波のストレス”を抑える
→ 結果的に手や肘が痛みにくい構造になります。
③ VDM(グリップ内部の振動吸収メッシュ)
VDMは、ヨネックスのジュニアラケットでも採用される“実績のある振動吸収素材”。
VDMはインパクト直後の高周波だけでなく、中域振動も吸収 できる特性があり、衝撃波がグリップを通過する際に
約30〜40%の振動エネルギーを低減(既存モデル比)。
特にジュニアは手の骨が細く、この“グリップ直下での吸収”が非常に重要です。
新ライン「VCORE α(アルファ)」の登場
今回の発表で、注目したいのがVCORE α(アルファ)シリーズ。
これは
- 上位モデルのテクノロジーを継承
- 価格帯は手頃
- 中上級ジュニア〜一般初中級者がターゲット
という“ステップアップモデル”として設計されています。
中国生産ですので、原価が低いという事があるかもしれませんね。リーズナブルな価格帯となっています。
最近のジュニアは小学生でもVCORE98を使うケースがありますが、身体の成長を考えると重量・バランス・フェイスの扱いやすさから入るのが望ましい考え方もあります。
VCORE αはリーズナブルながら、適度なパワー、必要な安定感を兼ね備えているため、中学年代や競技スタート期の選手にマッチします。高額なラケットを揃えるのはちょっと、という「将来的にスピン系に進む予定のジュニア」には特に良いブリッジ(中継モデル)になるでしょう。
新VCOREシリーズのラインナップ
主な特徴
| モデル名 | タイプ・対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| VCORE 95 | 上級者・ハードヒッター | 最高の操作性・薄ラケ系×スピン |
| VCORE 98 | 中上級〜競技ジュニア | スピン×パワーの黄金比、最も人気 |
| VCORE 100 | 中級者〜競技一般 | パワー寄り、扱いやすい万能型 |
| VCORE 100L/100SL | 小柄ジュニア・女性 | 軽量+スピン性能、操作性重視 |
| VCORE α | 初中級〜中上級ジュニア | 手頃な価格のステップアップモデル |
各モデルで共通するのは
「スピンの入りやすさ × 打点許容の広さ × 安定性」 が底上げされている点。
軽量モデルでも性能差が少なくなっているのが今回の特徴です。
旧モデルとの比較は下記
| 項目 | 旧VCORE(2023–2025) | 新VCORE(2026) |
|---|---|---|
| スウィートエリア | 中程度(トップはやや狭い) | シリーズ最大。トップ寄りでも安定 |
| フレームのたわみ | 横方向に強い | 縦×横の複合たわみでホールドUP |
| スピン量 | 高い | 誰でも高回転が出るレベルに底上げ |
| スナップバック | 中〜高 | ストリング可動域拡大で最大級 |
| 打球感 | やや硬質 | しなるが安定する柔剛ハイブリッド |
| ジュニア適性 | 中級以上 | αシリーズ登場で選択肢が広がった |
各モデル詳細
| 製品名 | カテゴリー | フェイス面積 | 素材 | 重さ | 長さ | 価格(税込) | 原産地 | 発売 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| VCORE 95 | 競技モデル | 95 in² | 高弾性カーボン+2G-Namd™ Flex Force+Servo Filter+VDM | G2–3(平均310g) | 27 inch | ¥42,900 | 日本 | 2026年1月中旬 |
| VCORE 98 | 競技モデル | 98 in² | 高弾性カーボン+2G-Namd™ Flex Force+Servo Filter+VDM | G2–3(平均305g) | 27 inch | ¥41,800 | 日本 | 2026年1月中旬 |
| VCORE 98L | 競技ライトモデル | 98 in² | 高弾性カーボン+2G-Namd™ Flex Force+Servo Filter+VDM | G1–2(平均285g) | 27 inch | ¥41,800 | 日本 | 2026年3月上旬 |
| VCORE 100 | 競技モデル | 100 in² | 高弾性カーボン+2G-Namd™ Flex Force+Servo Filter+VDM | G1–3(平均300g) | 27 inch | ¥41,800 | 日本 | 2026年1月中旬 |
| VCORE 100L | 競技ライトモデル | 100 in² | 高弾性カーボン+2G-Namd™ Flex Force+Servo Filter+VDM | G0–2(平均280g) | 27 inch | ¥41,800 | 日本 | 2026年1月中旬 |
| VCORE 100D(NEW) | 競技モデル | 100 in² | 高弾性カーボン+2G-Namd™ Flex Force+Servo Filter+VDM | G2–3(平均305g) | 27 inch | ¥41,800 | 日本 | 2026年1月中旬 |
| VCORE 102 | 競技寄りブリッジモデル(中級者〜中上級ジュニア) | 102 in² | 高弾性カーボン+2G-Namd™ Flex Force+Servo Filter+VDM | G0–2(平均290g) | 27 inch | ¥41,800 | 日本 | 2026年3月上旬 |
| VCORE α(NEW) | ステップアップモデル(ジュニア・一般初中級) | 100 in² | 高弾性カーボン+ナノメッシュ+ネオ+Servo Filter+VDM | G0–2(平均260g) | 27 inch | ¥26,400 | 中国 | 2026年3月上旬 |
| VCORE α L(NEW) | ステップアップモデル(軽量) | 100 in² | 高弾性カーボン+ナノメッシュ+ネオ+Servo Filter+VDM | G0–2(平均275g) | 27 inch | ¥26,400 | 中国 | 2026年3月上旬 |
| VCORE α SL(NEW) | ステップアップモデル(超軽量) | 100 in² | 高弾性カーボン+ナノメッシュ+ネオ+Servo Filter+VDM | G0–2(平均245g) | 27 inch | ¥26,400 | 中国 | 2026年3月上旬 |
| VCORE 26 | ジュニア(小学生高学年〜中学1年) | 100 in² | カーボン+VDM | G0(平均235g) | 26 inch | ¥17,600 | 中国 | 2026年1月中旬 |
| VCORE 25 | ジュニア(小学生中学年〜高学年) | 100 in² | カーボン+VDM | G0(平均225g) | 25 inch | ¥16,500 | 中国 | 2026年1月中旬 |
カラーは全てルビーレッドです。
ジュニア視点での評価
ジュニア指導の現場を基に、今回のVCOREの“使いどころ”を整理します。
① 小学生ジュニア:打点のズレをカバーできる
小学生は打点が安定しにくく、特にトップ寄りに外しがち。
今回の広いスウィートエリアは大きな助けになります。
また、ホールド感が強まっているので「薄く当たって抜ける」「飛ばない」問題が起こりにくい。
競技を始めたての子にも恩恵があります。
② 中学生ジュニア:スピン習得期と相性が良い
スピンの習得は“打ち方を学ぶ → 成果が出るまで半年以上”かかることもあります。
今回のVCOREは
- スナップバックが働きやすい
- たわみが多くボールを押してくれる
という性質から、スピンの習得感を早く実感しやすい。
“わかる → できる → 安定する” の流れが早まるラケットです。
③ 高校生ジュニア:スピン系への移行がスムーズ
高校年代では男子も女子も
「スピンで展開を作る」
という戦い方が主流になります。
ただ、従来のVCORE98は「筋力的に少ししんどい」という声もありました。
今回は
- 安定性UP
- フレームが負けない
- 飛びも過不足ない
というバランスが整ったため、
移行しやすいスピンラケット になった印象です。
④ αシリーズは“ジュニアの黄金ポジション”
特に評価したいのがVCORE αシリーズ。
ジュニアでは
「飛ばないラケットで頑張りすぎてフォームが崩れる」
という負の連鎖が結構あります。
αシリーズは
- 軽い
- しなりすぎない
- スピンは自然にかかる
という絶妙なポジションのため、
成長途中の身体 × 発達段階の技術 にちょうど良い。
“競技ラケットの入口”として非常に優秀です。


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