ジュニアテニスのフォーム改善:手打ちからの脱却

ジュニアテニスでは、初めから選手を目指している場合を除き、楽しむテニスから選手としてのテニスに移行するフェイズがあります。この過程で多くの選手が通る道が手打ちです。

手打ちとは、テニスに置いて身体の運動連鎖が十分に機能せず、腕主導でエネルギーを生み出している打ち方です。
ポイントは、腕を使っている事というよりも、体全体でエネルギーを十分にボールに与え切れていないことで、一生懸命振ってもボールが伸びない、相手コートに入ってから失速し、簡単に返される、速いボールを打たれると一気に崩れるなど、成長スピードの鈍化に繋がる上に、怪我のリスクも高まります。

ここで原因が明確にわかっていないと、もっと振らなきゃダメと思ってしまいがちですが、それは腕の問題ではないことがほとんどです。これはジュニアにとって技術不足というより、成長過程でほぼ誰もが通る道で、問題はそこに気づいて、どうやって抜け出すかです。

今日は、手打ちの特徴と、その改善プランを整理してみます。

目次

手打ちの正体は運動連鎖の断絶

テニスは腕のスポーツに見えますが、本質は全身運動です。

地面を踏み、足が動き、股関節が回り、体幹が連動し、肩が回り、最後に腕とラケットが加速する。このエネルギーの流れを「運動連鎖」と呼びます。

ところが手打ちは、この流れが途中で切れています。

足が止まり、体幹が使われず、肩の回転も小さい。その代わり、腕だけが一生懸命働いている。

だからスイングスピードは速いのに、ボールが伸びません。
だから強打に押され、長時間プレーすると急に崩れます。

よく見ると、フィニッシュで体が止まっているケースが多いです。体重が前に乗らず、その場で腕だけが振り抜かれている。打点も安定しません。詰まったり、伸びきったりが頻発します。

なぜジュニアは手打ちになりやすいのか

小学生年代は、体幹や股関節の使い方がまだ未熟です。大きな筋肉よりも、細かく動かせる腕を優先してしまうのは自然なことです。

さらに、試合では「強く打たなきゃ」「決めなきゃ」という意識が強くなります。結果を急ぐ環境が、腕主導を固定化させます。

もう一つ大きいのはボールレベルの問題です。グリーンからイエローへ移行が早すぎると、体が完成する前に振らされるテニスになります。重いボールに対抗するために、さらに腕を使う悪循環に入ります。

実際、我が家でもこの壁にぶつかりました。振っているのに伸びない。フォームはそれらしいのに、打球が軽い。
これは親が気づいてもなかなか改善できないことが多く、スクールやコーチの力量に左右されることも多いです。
途中でこれに気づき、改善することができれば、ボールの安定性が飛躍的に増し、以後の練習の成長速度も変わります。小学校高学年で半年単位で急に強くなりますが、この一因がフォームの改善であることが多いです。

一方、フォームがおかしいままで、それに気づけない、または指摘してくれない環境であれば、練習環境もそれなりですので、一生懸命時間をかけても伸びないことがあります。

テニスのフォームは千差万別ですが、この手打ちに関してはいわば幹の部分で、ここは要改善項目と考えて差し支えありません。まだ対応しておらず気になった方は、まずは知見のあるコーチに相談することから始めてください。わかっていても指摘してくれていないことも多々あります。

手打ちを抜け出す第一歩は「足」から

手打ちを直そうとするとき、「腕を使うな」と言っても意味がありません。腕を止めることはできないからです。

大事なのは順番を変えることです。

最初に取り組むべきは、足を止めない習慣です。打つ前に必ず動く。スプリットステップを徹底する。ミニラリーでも、打つ前に必ず二歩動くルールにする。

これだけで、腕の仕事量は自然に減ります。
足が動くと、体の向きが変わります。体の向きが変わると、回転が生まれます。回転が生まれると、腕は“最後の加速役”に戻ります。順番を整えるだけで、ボールは少しずつ重くなります。

体重移動とボールの呼び込み

次の段階は体重移動です。

前足に体重を乗せて打つ感覚を覚えると、子どもは驚くほど打球が変わります。片足でフォアを打たせる練習は効果的です。踏み込んでから振る。踏み込みが先、スイングが後。

ここで意識することは一歩待って肩を入れて踏み込めたかどうか?です。
決して、強く打てたかどうかではありません。

踏み込めると、ボールは自然に伸びます。腕の力を足さなくても、相手が押される感覚が出てきます。この成功体験が、フォーム改善の原動力になります。手打ちになると手首だけでコントロールしようとするので、精度が悪く、相手も軌道を読みやすく、更に球威も下がります。ここは都県クラスで勝てるかどうかの瀬戸際で、非常に重要となります。

体幹主導に切り替える感覚作り

さらに一段階上がると、「腕で振る」から「体を回す」に意識を変えます。
小学生に「体幹を使え」と言っても伝わりません。そこで有効なのが、「お腹を回す」という表現です。

タオルを持って素振りをする、ラケットを持たずに回転だけを意識する。両手を胸の前に組み、回転だけでフィニッシュを作る。

腕が主役ではなく、体が主役だと分かると、打球の質は安定します。

そしてもう一つ重要なのが、フィニッシュを止めないことです。打ったあと三秒程度静止できるかどうか。バランスが崩れるなら、まだ腕主導の可能性が高い。

バランスが取れているフォームは、再現性が高いフォームです。

回転量が増えるとフォームは安定する

手打ちはフラット傾向になりやすいです。腕で叩くからです。

逆にトップスピンを強く意識させると、自然と下半身と体幹を使わざるを得なくなります。下から上へ、体ごと持ち上げる感覚が生まれます。スピン量が増えると安心感が出ます。安心感が出ると、力みが減ります。力みが減ると、腕の過剰な緊張が消えます。

フォームは、技術だけでなく心理ともつながっています。

年代別に見る改善のポイント

U10までは技術よりも動き作りです。ジャンプ、ラダー、バランストレーニング。体を自在に動かせることが最優先です。

U12では体重移動と回転の理解を徹底します。理屈より感覚。成功体験を積ませることが重要です。

U14以降になると筋力も伴ってきます。メディシンボールや体幹トレーニングを取り入れ、より強い連動を作っていきます。

年齢によってアプローチは変わりますが、共通するのは「順番を整える」ことです。

親の声かけがフォームを変える

試合後に「もっと振れ」と言っていないでしょうか。
これが大事なこともありますが、その一言が、さらに腕主導を強めてしまうことがあります。

代わりに、「足どうだった?」「踏み込めた?」「回れてた?」と聞いてみると、子どもの意識も変わるかもしれません。フォームは技術の問題である前に、意識の問題でもあります。

手打ちは才能不足ではなく、成長の途中で必ず通る道ですが、長く留まると、後から修正が難しくなり、ろくなことがありません。「腕で打つ」から「体で運ぶ」へ変わっていくよう、意識されると良いでしょう。

この変化が起きた瞬間、ボールは本当に、明らかに変わります。音ではなく、相手の反応で分かります。
安定したボールが食い込んでいくイメージ。

この論点、常識ではありますので当然だよと思った方も多いですが、意識したことがないご家庭は恐らく成長のチャンス。是非改善を意識して上記お試しください。

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