2024年、日本テニス協会はジュニア大会のグレード体系を見直し、新たに「グレード4D」を設ける旨を開示しました。凡そ1年が経過し、関東でも実際に多くの試合が行われていますが、4Dは関東でもジュニア選手のビギナーに浸透してきたようです。
従来、ジュニア大会は グレード1〜4C まで細かく区分されおり、U12ジュニアにとって4Cが登竜門という位置づけでした。しかしそのレベルは高く、県跨ぎの長旅後の初戦で敗退を繰り返した末に、親子でモチベーションを失ってしまう一因ともなり、長年敷居の高さが課題として認識されていました。
この課題に対し、出場機会の確保と選手層の均質化、モチベーション維持を目的に導入されたのが「4D」です。
4Dの特徴
通常の公認大会ははランキング順に参加資格、シードが決まりますが4Dの基準は真逆で、ノーランカー、低ポイント順に参加権利があります。このため、ポイントがない選手から確実に参加できます。
このような趣旨から実力者が入ってくることもないので、自称初心者の実力者も避けて、同様に試合経験が乏しい選手だけで試合に参加することができます。
また、試合はグループリーグと決勝トーナメントに分かれているので、一発勝負の公認大会とは異なり、確実に複数試合経験することができます。
更に、関東ジュニアの登録がなくとも参加できます
これは初心者にとって非常にありがたい制度です。最初の登録はなかなか面倒ですので、まずはやってみようという軽い気持ちで参加できます。
とはいっても一応ポイントがもらえますので、可能であれば登録してポイントを得ていきましょう。
従来のグレード制度との違い
| グレード | 特徴 | ポイント配分 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 1 | 全国トップレベル | 最大級 | 全国大会(全日本ジュニア等) |
| 2 | 地区ブロック最高峰 | 高 | 地区大会(関東・関西ジュニア等) |
| 3 | 地方主要大会 | 中 | 県大会上位層 |
| 4A〜C | 各地域の公認大会 | 小〜中 | 各地のクラブ主催 |
| 4D(新設) | エントリー数確保用/初中級向け | 最小 | 初めての公認挑戦 |
4Dのポイント(4Cとの比較)

4Dは上記の通り、4Cと比較してポイントはごく僅かです。
貯めるというよりも、実際にランキングに加わる喜びを得る趣旨と、狙いはその先。
この後4Cに参加することで容易に5~8ポイント入ってきますので、将来勝っても負けてもポイントが増えることでモチベーションに繋げやすいでしょう。
4Dのメリット
① 出場機会の拡大
これまでは、4Cですら大会に出られない層が存在しました。
4Dができたことで、まずは参加の敷居が下がり、試合経験の絶対数を確保しやすくなります。
② ポイント獲得の入り口
優勝ポイントは小さいですが、「ランキングに名前が載る」ことが子どものモチベーションに直結します。
初めて勝ち星を得た子にとっては「一歩前に進んだ」感覚を実感でき、努力して次にチャレンジできます。
③ 多様な層が混ざらない安心感
4Cや4Bではトップ層が参加するケースもあり、初心者層は「一回戦で圧倒されて終わり」ということも。
4Dは基本的に「これから」の選手が中心のため、レベル差が緩和されます。
親の視点から見る4Dの意味
私自身、子どもの大会を追いかける中で感じたのは、試合経験を経て成長する事実です。
ただ従来は、最初の一歩が重かったです。ランキング保持者が揃う大会では、初挑戦の子どもは緊張の中で一方的に負けてしまい、テニスへの意欲が揺らぐこともありました。
4Dの存在は、その「最初の壁」を下げる制度です。
「まずは公式戦に慣れる」ことができるので、親としても 『気軽に挑戦させてみよう』と思える入り口になります。
実際の試合の雰囲気
4Dの大会が始まり、概ね1年弱経過しました。
上位大会のように張り詰めた空気ではなく、比較的リラックスした雰囲気が漂っているようです。
- 試合運営もシンプルで、1日完結型が多く試合経験も積める。
- エントリー数が多くても、層が近いので接戦が増える。
- 初めての子どもにとって「居場所がある」と感じやすい。
これにより、「負けても次につながる」「楽しさを感じたまま帰れる」大会体験になりやすいです。
実際に、エントリー数もたくさん集まっています。
課題と今後の展望
もちろん4Dにも課題はあります。
- ポイントの低さによるインセンティブの弱さ
上位層は最初から敬遠するため、競技強度は低めになりがち。 - 大会数・地域差
まだ新設されたばかりで、大会数や開催地域に偏りがあります。
→ 例えば関東圏では充実していても、地方では「そもそも4Dがない」という声も。 - 「4D止まり」の懸念
慣れて勝てるようになった後に、次の4C以上へ挑戦するステップをどう支援するかが課題。
他の大会との比較
大会はリーグ戦の後に、決勝トーナメントを行う形式が多く、スポ人のスクスクと似ています。
スクスクとの違いでは、選手層の若干の違い、運営母体の違い、ポイントの違い、賞品の違いが挙げられます。
スクスクではイエローではU12となりますが、初心者との区分がないため、スクスクとの比較においては、スクスクの方が上位になる位置づけです(しかし、スクスクは非選手層も多いため全体として大きな差はないです)。
ポイントは、4Dでは関東ジュニアランキングのポイントがわずかですが加算され、スクスクでは独自のポイントがつきます。またスクスクの賞品で良く使われるグミタブレットは高額ですので、賞品はスクスクの方が良いかもしれません。
大きな差はないので、両者使い分けていくと良いでしょう。
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