スポンサー契約・サプライヤー契約・アンバサダー契約の違い:サプライヤーの思い

テニス選手の活躍の裏側には、ラケット・シューズ・ウェアなどを提供する企業との契約関係が広く張り巡らされています。テレビやSNSでトップ選手が特定ブランドを身に着けている姿を目にすることは多いですが、そうした「見せ方」の背後には、法的・契約上の区別がいくつかあります。
今回は、特にジュニア選手が関わることが多い「サプライヤー契約」を中心に、スポンサー契約・アンバサダー契約との相違、契約時に押さえておきたいリスクや実務観点を交えつつ整理します。

私自身、他スポーツの契約に携わっておりますので、選手と契約する側の視点も踏まえ、特にジュニア選手が結ぶことの多いサプライヤー契約についてお話ししたいと思います。

目次

スポンサー契約とは

スポンサー契約とは、企業が選手に対し金銭または物品を提供し(資金提供、援助)、その見返りとして、選手が広告宣伝活動等に協力することを約する契約です。

特徴・構造
 - 金銭支払が発生する点が特徴的で、契約金の額は選手の実績や露出力と相関しやすい。
 - 宣伝活動(ロゴ使用、広告露出、メディア出演など)が義務項目となることが多い。
 - 契約期間、権利義務の範囲、更新・解除条件、守秘義務、違約金条項などを明記するのが一般的。

代表例
 ユニクロ×錦織圭、ナイキ×大坂なおみなどが典型例です。

このようなスポンサー契約では、単なる物品提供のみならず、企業側の広告投資回収が前提になっており、契約関係は比較的複雑になります。

サプライヤー契約とは

サプライヤー契約は、選手に対し用具(ラケット、シューズ、ウェアなど)を提供または貸与し、選手がそれを使用する義務を負う契約です。金銭支払を伴わないか、小規模な金銭的インセンティブを伴うこともあります。

特徴・階層区分
 契約形態には段階的な違いがあります(現場では曖昧な場合もあるが、整理すると下記)。
 1. 割引契約:選手がメーカー製品を一定率(例 30–50%)引きで購入できる。
 2. 無償提供型サプライヤー契約:選手に対して用具を無償提供、場合によって継続的な提供も。
 3. 貸与型契約:一定期間のみ用具を貸与し、契約終了後返却を義務づける形式。
 4. プロ対応型混合契約:将来的に有償支払や独占的提供義務も含む、いわば「契約のグレードアップ」型。

 ジュニア選手が関わる契約では、主に1~3に該当するケースが多いでしょう。

利点・リスク
 利点として、選手側は用具費用を大きく抑えられ、実質的な支援を受けることができます。ただし、契約条項によっては「契約ブランド製品以外を使えない」などの排他的義務が課されることがあり、選手の自律性や用具選択自由を制限する可能性があります。
 また、支援の保証性(契約の更新・解除)や、成績悪化時の提供停止リスクもあります。

アンバサダー契約とは

アンバサダー契約とは、選手が単に用具を使うだけでなく、ブランドの広報(ブランドイメージ向上、SNS発信、イベント出演等)にも協力することを期待される契約です。

特徴
 - 宣伝・発信活動が義務または推奨項目に含まれる。
 - ブランド・イメージと選手の「顔」を重ね合わせる形式。
 - 必ずしも世界トップ層の選手でなくとも契約されうる(SNSのフォロワー数や影響力が重視されるケースあり)。

芸能人、インフルエンサーの活動をイメージするとわかりやすいですね。
こちらはテニスが強いかどうかだけでは足りず、知名度も必要となるので、ジュニアテニスとは縁遠い所。こうした契約では、契約期間、報酬、活動義務、発信内容のチェック・承認、著作権・肖像権・使用権の扱いなどを慎重に定めておくことが重要です。

ジュニア選手にとってのサプライヤー契約

ジュニア選手が最初に経験するのは、多くの場合サプライヤー契約です。

  • ラケット:毎年数本支給(貸与や無償提供)
  • シューズ・ウェア:シーズンごとに数セット提供
  • バッグやアクセサリー:一式が支給されることも多い
  • 消耗品:グリップテープやストリングをまとめて提供される場合あり

保護者から見れば、毎年のテニス用具費が数十万円規模で浮くため、大きなサポートになります。
何よりも、最初の契約機会は嬉しいもの。SNSにもよく挙がってますよね。これを機に多くの選手は使い続けることになるでしょう。

こちら注意点もあります。契約ブランド以外の用具を使えなくなるため、子どもの成長に合わせて柔軟にラケットを選ぶ自由が制限される場合があります。契約できる時点で、テニスの腕前か、その他インフルエンサーとしての露出など十分認められているわけですが、あともう一段上がって世代トップクラスになると、選べる側になりえます。

こちら、契約を打診する際に喜んでいただける期待値はテニスの実力、知名度と反比例します。
サプライヤーが選ぶ際も、一定の基準か、その他慎重を期して合議制にて選出しますが、選ぶ側は楽ですが、選ばれる側を目指す場合はしんどくなります。この点、テニスのジュニア小学生は多くの方で喜んでいただけるんでしょうね。
また、成績が落ちると更新されないリスクもあり、「契約=安定した支援」ではない点に留意が必要です。

ジュニア、特に小学生期ではこのあたりの契約の内容も様々で、実際は贈与に近いもので、将来の囲い込みを目指したものが多いように感じます。ただ、この戦略は非常に効果的と感じます。バサッと送って使ってもらう。ジュニアの多くはSNSで発信しているので、勝手に強い子が効果的に宣伝してくれる。

ウィルソンもU10を対象に今年から大掛かりな大会を始めましたね。まだ内容は伏せられていますが、サプライヤー契約に類する特典が付されます。全国で予選を行い、全国大会はU10だけで162名もエントリー!凄い規模です。この規模であれば、先にU12に行く子がいるとはいえ優勝者は強いです。

<グリーンボールU10全国大会>NEXT HERO TOUR :Wilson×MATとは?定員満席! | テニジュ


ジュニア契約のリアリティ

  • スポンサー契約:金銭提供+広告活動。プロや世界トップクラスが対象。
  • サプライヤー契約:用具支給・貸与中心。ジュニアはここから始まる。
  • アンバサダー契約:広報重視。SNS発信力を持つ選手が対象になることも。

ジュニアの場合、契約といっても「家計を助ける用具提供」が主要なサポートとなりますが、子どもにとっては「契約選手」という肩書きが大きなモチベーションとなります。大事なのは契約が目的化しないこと。長期的な成長のために、ブランドや契約条件を冷静に見極める必要があります。

本来、まだまだ精神的に未熟な小中学校期に、「契約」で縛ることは重荷です。
数年前は自分が好きでテニスをしていて、勝ったら家族やコーチが喜んでくれて、結果も出て、更に相乗効果で、、
という具合だったのが、勝つ事が至上命題になり、テニスの手を緩めることも許されない、契約を切られたらどうしよう、、これは大人でもしんどいですよね。

私は経験上、小学生は相手にしたことはないですがその選出過程はシビアです。
嫌な言い方をすれば、モノで人を縛ることができる、しかも原価で安く。

一つだけ言えることがあるとすれば、そのような縁があっても浮かれないことが大事と思います。

特にSNSは気を付けていただければと思います。
SNSで宣伝までしてくれると嬉しいですが、親が子を使って宣伝させている場合は話は別。
発展途上のブランドであれば、自分自身のブランドを切り売りしているとも言えます。
あからさまに子供を使って親が宣伝している姿は、やり方を間違えると子供が傷を負います。

K製薬の某サプリメントなど大きな問題になりましたが、もし子供を使って宣伝させていたら、、
その子の人生を狂わせてしまいます。ですので、食べ物はより注意を払った方が良いかもですね。
それぐらいは買えばいいんです!将来、子供の意思で自分でやらせたら良いです。。

子供のうちはサプライヤーにとって先物買い、
ただありがとうと感謝してくれて、更に強くなって、長く使ってくれるのが一番なんじゃないかな、と思っています。

WOWOW
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