全国の小学生の選手のほとんどは、選抜、全小、全日本ジュニアを小学生時代の目標としています。
年明けの都道府県の選抜から始まり、夏の終わりの全日本で締めくくりとなりますが、まず最初に迎えるのが選抜。
この選抜は概ね年末のランキングが参考となるため、ここでいかにシードに入るかが重要となります。
誰もが考えることとして、まずは出場、そして関東進出。
激戦区の東京を含めて言えることとして、シードに入って、シード以外に勝てばほぼ関東へ進出できます。
逆にシード以外は、激戦区ではシードに勝たないと道が開けない事が多いです。
戦略的に考えると、まずは実力、そしてポイント集め。都道府県で難易度が変わるのが実情です。
昨年のランキングを掲載しておきますので、ここでまずは前年度の基準をイメージしてください。
2024年12月27日 関東ジュニアランキング U12
2024.12.27発表 関東ジュニアU12BS.pdf
2024.12.27発表 関東ジュニアU12GS.pdf
テニスは選手の移籍があるものの、強い選手が所属する都道府県から、1年後の難易度が予測しやすいです。
まだ低学年の方はわかりにくいと思いますので翻訳していきます。
基本
関東選抜へ進出できるのは男女とも64名。
基本は、各都道府県3名×8の枠があり、後は関東ジュニアランキングの上位40名、合計64名が関東へ進出できます。
このように、各都道府県で偏るレベルはリアルタイムで正確に反映されますが、そもそも3名×8の枠があるため、実際は8都道府県の難易度は大きく変わります。
上記ランキングは暦年ではなく、10月に更新されます。よって、11歳と記載されている場合はまだ先があり、12歳と記載されている場合は最終年度となります。
毎年難易度が変わりにくいのは東京で、毎年激戦。千葉、神奈川、埼玉は年次によりますが、近年は千葉は毎年大変、神奈川は男女で大きく異なるデータとなっています。
その他4県は母集団が少ないことが多く、3名という定足数がこれが大きな支えとなります。ランキング40に入る子がいればその分枠が増えるし、ここに入らなくてもこの3名に入れば良い計算となるため、例年、人数が偏らない限り関東へ進出しやすいです。
更に小学生の間は、協会所属という選択肢があるため、居住地と所属するチームの都道府県、2つを実質的に選べることとなります。これはどこのチームに所属するか、から考える場合は非常に重要な視点となります。
この戦略だけは、スクールでは教えてくれません。移籍に関係するテーマで、テニスで勝てば良い、強くなれば良いという精神論で説明できてしまうからです。
都県別シードと補欠枠の考察
ジュニアテニスで「どの都道府県から出場するか」は、関東大会や全国大会へ進むための重要な分岐点になります。特に シード権や補欠枠に入れるかどうか は、その後の勝ち上がりやすさに大きく影響します。今回は、東京・神奈川・埼玉・千葉の最新ドローやランキングをもとに、U12だけでなくU11・U10についても「どこが有利か」を数字で分析しました。
1. 東京:選手層の厚さゆえの「最激戦区」
- ランキングデータを見ると、東京(31番)は全年齢層で登録人数が圧倒的に多い。
- 例えば男子U11では、東京だけで 約70名以上 がランキング登録されており、他県の2倍~3倍の母数。
- そのため「シード枠に入るには全国でも上位クラスの実力が必要」。補欠に回っても順番がなかなか回ってこないのが実情です。
- メリットは競争の中で揉まれ、力がつきやすいこと。デメリットは、「関東に進出できる確率」そのものが低い ことです。
2. 神奈川:人数は多いが「層に穴あり」
- 神奈川(32番)は登録数が東京に次ぐ規模。ただし U11男子はやや厚いが、女子は11歳以下が薄い。
- 実際、神奈川女子U11のランキング母数は 東京の半分以下。
- つまり、女子に関しては「シードに入りやすい」=関東に出やすい環境。
- 一方で男子はトップ層が強力なので、補欠からの繰り上がりは東京と大差なし。
- U10女子は特に狙い目で、登録人数が少なく、シード下位ラインの得点でも上位に食い込めるケースがあります。
3. 埼玉:中堅層がやや薄めで、穴場感あり
- 埼玉(34番)は登録者数こそ神奈川より少ないですが、上位数名の強さは全国級。
- 特徴的なのは「中堅層が手薄」で、シード下位や補欠の層に空きができやすい点。
- 男子U11・U10を見ると、関東ランキング200位台でも県内シードに食い込めるケースがありました。
- 「県内で勝ち進みやすく、関東の舞台に立てる確率が高い」=穴場県といえます。
4. 千葉:特殊な「予選突破型」
- 千葉(33番)は特殊で、本戦に直結する本戦DAはベスト8まで。
- その他は予選を勝ち抜いてDA組に勝つ必要もあり。
- 予選に実力者も混ざるためくじ運次第で関東出場が左右されるリスク大。
- シードに入れる実力がある選手は有利だが、それ以外はむしろ不利な県。
年齢別の傾向(U12・U11・U10)
U12
- どの県も層が厚く、特に東京は全国クラスでなければシード入り困難。
- 神奈川・埼玉は人数差が東京ほど大きくないため、「県内上位に滑り込む」チャンスあり。
U11
- 神奈川女子が最も狙い目。登録人数が少なく、関東出場の可能性が高い。
- 埼玉男子もシード下位や補欠での出場が見込める。
U10
- 登録数が少ないため、男女ともに「地域格差」が顕著。
- 東京U10は依然として激戦。
- 神奈川女子は登録が薄く、シード入りしやすい「穴場」状態。
- 埼玉男子も県内で勝ち残れば関東切符を得やすい。
まとめ:どの県が有利か?
- 東京:最激戦。強化には良いが、シード・補欠狙いなら不利。
- 神奈川:男子は激戦だが、女子(特にU10・U11)は穴場。
- 埼玉:中堅層が薄く、男子女子ともにシードや補欠を狙いやすい。
- 千葉:本戦DAを取れれば有利だが、それ以外は予選突破が険しい。
「東京=消耗戦」「神奈川女子・埼玉男子=穴場」「千葉=両極端」という構図が浮かび上がりました。
次の“勝ち筋”をデータで補足
U12に隠れたU11を分けて考えることが大事です。これは皆さま、関東ジュニアHPで11歳や10歳でソートして、将来のライバルを確認しますよね。これと同じことで、これを上位300名で数値化するとどうなるか。
下記を基準に考えます。
人数の厚み:その都県にいる11歳の人数(将来のシード候補の“母数”)
競争強度:11歳の上位25%ポイント水準(上位四分位=Q3)が、関東全体の11歳Q3と比べてどれくらい高い/低いか(=競争指数)。
- 競争指数=各都県の11歳Q3 ÷ 関東全体の11歳Q3
- 1.00より大…競争が厳しい(上位のポイント水準が高い)
- 1.00より小…競争が緩い(上位のポイント水準が低い)
11歳の合計
都県 | 合計人数(11歳) |
---|---|
31(東京) | 55 |
32(神奈川) | 39 |
33(埼玉) | 23 |
34(千葉) | 32 |
35(茨城) | 9 |
36(栃木) | 8 |
37(群馬) | 5 |
38(山梨) | 6 |
人数だけでみるとこの通り。これだけでは何もわかりません。
男女に分解してみます
男子(U12)11歳:都県別の人数と競争指数
都県 | 11歳人数 | 競争指数(Q3相対) |
---|---|---|
31(東京) | 32 | 0.98 |
32(神奈川) | 20 | 1.28 |
33(埼玉) | 8 | 0.66 |
34(千葉) | 17 | 1.09 |
35(茨城) | 7 | 0.45 |
36(栃木) | 4 | 1.16 |
37(群馬) | 0 | — |
38(山梨) | 5 | 0.62 |
強度面で、神奈川の競争指数1.28は関東平均(=1.00)より高く、上位争いはむしろハード。
穴場候補:35(茨城:0.45)、38(山梨:0.62)、33(埼玉:0.66)などは競争指数が低く、上位四分位のポイント水準が低め=シード圏が“緩い”傾向。ただし母数が小さい都県は年次変動が大きい点に注意。
女子(U12)11歳:都県別の人数と競争指数
都県 | 11歳人数 | 競争指数(Q3相対) |
---|---|---|
31(東京) | 23 | 1.03 |
32(神奈川) | 19 | 0.46 |
33(埼玉) | 15 | 0.96 |
34(千葉) | 15 | 2.16 |
35(茨城) | 2 | 1.11 |
36(栃木) | 4 | 0.60 |
37(群馬) | 5 | 0.89 |
38(山梨) | 1 | 0.25(※サンプル極小) |
神奈川(32)は“人数もやや少なく、上位水準も低い”=来年シードを狙うなら有望。千葉(34)は突出してハード(指数2.16)。東京(31)も平均よりややハード。
補足:11歳だけ11歳以下の比率もチェック
来年の伸びしろ(=下の年齢層の厚み)」という観点で、**各都県における“11歳以下比率も見ました(U12内での≤11歳の割合)。
- 男子(≤11歳比率)
31=0.407、32=0.418、33=0.381、34=0.423、35=0.615、36=0.417、37=0.333、38=0.556
→ 男子に限れば、32(神奈川)は“薄い”とは言い切れない(むしろ31よりわずかに高い)。 - 女子(≤11歳比率)
31=0.462、32=0.441、33=0.463、34=0.511、35=0.333、36=0.381、37=0.800、38=0.500
→ 女子では、32(神奈川)の“若い層の割合”は31(東京)より低め。
今後の計画にどう落とす?
- 男子
- 東京、神奈川、千葉ラインは激戦。 上位水準が高く、上位に刺さる力がないと効果薄。
- 穴場狙いなら、埼玉は検討余地。ただし層が薄い=年次変動が激しいため、大会直前のドロー傾向も毎回チェックを。
- 女子
- 東京、千葉ラインは激戦。下の年次も強い。神奈川は母集団の人数比で、現実的にシード獲得の入り口になり得る。穴場狙いなら、埼玉は将来的に検討余地。
やはり強豪のイメージがあった神奈川は将来的に見ても男子は変わらず競争が厳しく、女子は明らかに狙い目となっています。これはあくまで特定の人が弱いというわけではなく、強者の絶対数が少なく、他県と似た様相になっているという意味ですので誤解なきようお願いします。
母数の小さい都県は、数名の動向で分布や指数が大きく振れますので、ご留意ください。
コメント