Tennis Europeのジュニアテニスランキングと参加要件:ITF、ATFとの比較

アルカラス、ルーネ、シフィオンテク、ガウフ、メドベージェフ、、
今の子供達のスターも、ジュニア時代に欧州の大会で腕を磨いてきました。

Tennis Europe (TE)の U14 ランキングに名を連ねる選手たちは、いわば次世代のトップ候補です。
ここで上位に入る選手の多くが、後にプロの世界へステップアップしていきます。

実際、上述の選手たちは過去にこのツアーを経て世界の舞台に立った選手です。
うち、TEのU14カテゴリは世界ジュニア界の登竜門とも位置付けられ、彼らのキャリア初期の通過点として位置づけられています。

ジュニアテニスの世界は、年代・地域ごとに大会体系やランキングの考え方が違います。日本国内で大会に出ていると当然のように「関東ジュニア(上位5大会の合計点)」といった国内の常識に慣れてしまいますが、視野をヨーロッパに広げると、そこにはTennis Europe(テニス・ヨーロッパ)という大きな枠組みがあり、U14(14歳以下)を中心に世界のトップ候補たちが切磋琢磨しています。

この記事では、Tennis Europeの U14カテゴリー を中心に、

  • どんなランキングがあって
  • ポイントはどうやって貯まって
  • ランキングの上位の顔ぶれを紹介し、
  • 年間のビッグイベントにはどうやって出場が決まるのか
  • 参加条件、ハードル
    を、国内の感覚と比較しながら、できるだけやさしく解説します。
目次

Tennis Europeとは?U14ツアーの位置づけ

Tennis Europeは、ITF(国際テニス連盟)の欧州地域連盟です。
ヨーロッパ各国の協会が加盟する公式の広域ツアー組織で、12歳以下/14歳以下/16歳以下の年代で年間1,000大会規模のジュニアツアーを運営しています。ジュニアが国内→国際へ歩を進める上で、最初の本格的国際舞台となるのがこのツアー、という位置づけです。

U14はとくに厚みがあり、将来プロで活躍する選手の名前がこの年代から頻繁に登場します。カテゴリーは 「Super Category(SC)/Category 1/Category 2/Category 3」 の4段階。上へ行くほどレベル・格・配点が高く、国内でいう主要大会 ↔ 地域大会のような濃淡がはっきり付いています。

補足:
12歳以下(U12)は「ランキング対象外」という取り扱いが基本です(ITFの年齢適格ルールに基づき、U12は“順位付けしない”のが基本思想)。一方でU14・U16はランキングが整備されます。

なお、TEに限った話ではありませんが、ヨーロッパではサーフェスは伝統的にクレーが主流、次いでハードです。
芝も維持が大変なので一部、日本と決定的に違う点はオムニがほぼ皆無な点です。
このため、海外を意識した場合、つまり本気の選手は日本ではハードコート(できればデコターフなど良質ハード)を意識します。逆にオムニは日本では公式戦でも広く利用されていますが、子供のテニスの目標に応じて使い分けると良いでしょう。


ランキング:ローリング(通常)ランキングとレース(年間順位)

テニスのランキングは、プロでもジュニアでも「ローリングな世界ランキング」と「年間レース」の2本立てで運用されることが多いです。Tennis Europeも同様で、U14には以下の二つがあります。

  1. Tennis Europe Junior Tour “ローリング”ランキング
    1年(52週)=過去12か月の成績を入れ替えながら更新される、いわゆる通常の世界ランキングです。毎週更新され、年間の終盤には年間最終ランキング(Year-end)も公表されます。プロのATP/WTAでおなじみの考え方に近く、直近1年の実力を示します。
  2. Race to Monte-Carlo(年間レース)
    「今年の1月から何ポイント稼いだか?」という年内リセット型の累計順位。シーズン序盤からの合計点で順位が動き、秋のシーズン終盤に、各年代の“上位8人だけ”が“ジュニア・マスターズ”へ招待されます。U14とU16に適用される年内勝ち上がり合戦の指標で、誰が今年いちばん強かったかを素直に表します。

ローリングは「普段の強さ(エントリーやシードに直結)」、レースは「今年の強さ(年間王者決定戦の出場権)」という役割分担。プロのATPでも同じ仕組みが採用されています(世界ランクと“レース・トゥ・トリノ”の関係)。

U12は 基本はランキング付けをしない方針です(ITF年齢規定の趣旨に沿う)。U12は「経験の場」という扱いが明確で、以下にU14の最新ランキングを示します。この中から未来のスターが出てくるかもしれません。

U14 Boys(Tennis Europe:Race to Monte-Carlo)トップ10

RankPlayerCountryPointsTournaments
1Rafael PagonisGreece114515
2Luys CalinGermany90517
3Moritz FreitagAustria88517
4Laurens DrijverNetherlands87515
5Max LorincikSlovak Republic85017
6Lucas Ariel Herrera SanchezGermany82018
7Mario VukovicFrance81510
8Samuel DakessianFrance80510
9Francisco SardinhaPortugal70523
10Daniel CzarneckiGermany66518

出典:Tennis Europe「Race to Monte-Carlo Ranking(Boys 14 & Under)」の25/10/17最新

U14 Girls(Tennis Europe:Race to Monte-Carlo)トップ10

RankPlayerCountryPointsTournaments
1Darina MatvejevaLatvia8507
2Elizaveta AnikinaEstonia83513
3Hannelore DanielsBelgium80012
4Grace WatsonGreat Britain79015
5Violetta SkrypUkraine76513
6Grace BernsteinSweden75514
7Emilia HenningsenDenmark73521
8Zeliha Nil ÇukurluogluTürkiye69516
9Milica Sakamoto MilojevicGreat Britain69417
10Lilly Marie GreinertGermany64012

出典:Tennis Europe「Race to Monte-Carlo Ranking(Girls 14 & Under)」の25/10/17最新

レース(Race to Monte-Carlo)のポイントはこう数える

国内の例でよくある 「上位5大会の合計点」 に近い考え方ですが、Tennis Europeのレースは 「上位『種別ごと』の組み合わせ合計」 という少し凝ったルールです。具体的には――

  • シングルスの“ベスト6大会”の合計
  • ダブルスの“ベスト2大会”の合計
  • チーム戦(ウィンターカップ/サマーカップ等)の“最大2大会”まで加点

これらを合算したものが、その年の「レース・ポイント」になります。対象は同一年代カテゴリでの獲得分のみ(例:16歳以下の大会で稼いだ点はU14レースには入らない)。集計は毎週更新、シーズンのスタートは例年10月第1週(Week 41)から、翌年秋のカットオフ(10月頃)までに稼いだ合計点で上位が決まります。

このレギュレーションが意味するところは二つ。
平たく言うと、日本の関東ジュニアと同様の戦略が大事です。

  1. 万能型”が有利(S6+D2+Team ≤2):シングルスが軸ですが、ダブルスやチーム戦の貢献も最終順位にじわり効く。
  2. 計画性が問われる:シーズン中盤までに“ベスト6”を固め、終盤は上積み(入れ替え)を狙う。プロのレースと同じで、出る大会の質と量の最適化が勝負です。

レースの点は年度内の合計で、毎年10月はじめにレースがリセットされ(Week 41スタート)、翌年のカットオフまでの合計で争います。前年の点は持ち越しません。

「レース」と「通常ランキング」の配点は同じなの?
ベースは同じ“大会カテゴリーごとの配点テーブル”を使います(SC>C1>C2>C3)。ただしレースに“数えられる上限数”(S6/D2/Team2)がある点がポイント。国内の『上位5大会』より一段複雑ですが、やっていることはほぼ同じです。


大会カテゴリーと重み(配点)の関係

Tennis Europe U14の大会は、Super Category(SC)/Category 1/Category 2/Category 3の4段階。イメージは「SC=ジュニア版グランドスラム」「C1=マスターズ1000」「C2=500」「C3=250」のような重み付けです(たとえ話)。上位カテゴリーほどドローも強く、優勝やベスト8で貰える点が大きく跳ねる構造になっています。

  • SC/C1:欧州のトップ層が集中。ここで一発結果を出すとレースが一気に楽に。
  • C2/C3:スケジューリングの要。遠征の組み方やサーフェス適性で“堅実に積む”。
  • 欧州選手権(14U/16U):年間の大看板。優勝者はジュニア・マスターズの出場権として特別枠が与えられます(レース上位6+欧州選手権優勝者+WC=計8人)。

 春〜夏にC2/C3で固めたS6を、SC/C1の好結果で入れ替えてくる選手が台頭します。ランキング表の「出場数」「ポイント推移」に注目。 シングルス偏重の中で、D2の2枠を満点近く埋めてくる選手は、終盤に伸びます。ダブルスの固定パートナーを見つけているかどうかもチェックポイント。

大会の重み(配点)は公式のRules & Regulations(規程)に、カテゴリー別の配点テーブルや最新ルール改定がまとまっています。


ジュニア・マスターズ=年間王者決定戦

レースのフィナーレが、Tennis Europe Junior Masters。開催地は憧れの「モンテカルロ・カントリークラブ」。
U14とU16で各8人が招待され、4人×2組の予選ラウンドロビン→各組1位同士の決勝というフォーマットで年間王者を決めます。その年いちばん強かったジュニアを決める舞台で、ここに出ること自体がステータスです。

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