ジュニアテニスの指導は、日本の多くのスクールでPLAY+STAY(プレイ・アンド・ステイ)を導入しています。
実力をつけて選手になると早期にイエローへ移行する子もいますが、無理すると怪我をすることも。
経験談に基づき、選手たちの今の実態をお話しします。
PLAY+STAY(プレイ・アンド・ステイ)とは?
PLAY+STAYは、テニスをこれから始めようとする子どもや初心者のために、国際テニス連盟(ITF)が提唱して促進している段階的な導入プログラムです。
テニスのことがわからなくても信頼ある指針で、すぐにプレーができて、継続することを目指し、年齢やレベルに応じてラケット・ボール・コートのサイズの目安を示し、最適化しています。
まずはPLAY+STAYの原則は下記の通りです。
ステージ | テニスコート | ボール | 特徴 | 推奨年齢 | コート | 適正ラケット |
---|---|---|---|---|---|---|
レッド | ![]() | レッドボール (対イエローで反発75%減) | 小さなコートでラリー の基本を学ぶ導入ステージ | 5~8歳 | 通常の1/4サイズ,ネット高80~83.8cm | 21~23インチ |
オレンジ | ![]() | オレンジボール(対イエローで反発50%減) | ネットプレーや戦術も入り始める中級ステージ | 8~ 10歳 | 通常の3/4サイズ(約18m), ネット高80~91cm | 23~ 25インチ |
グリーン | ![]() | グリーンボール(対イエローで反発25%減) | 通常コートでイエローに向けて移行ステージ。 | 9~10歳以上 | 通常コート(シングル),23.77m×8.23m,ネッ ト高91.4cm | 25~26インチ |
イエロー | ![]() | イエローボール | 通常コート、大人と同じボールで、公式戦へ。 | 10歳以上 | フ ルサイズコート | 26~27インチ |
初めてテニスをする場合、小学校1年生ごろまではレッド、2~3年生はオレンジ、高学年になるとオレンジorグリーンという認識で良いです。
1年、2年と継続して上手くなって楽しくなってくると、週2回、3回とレッスン回数を増やすケースが多く、そうなると加速度的に上達します。レッスンを週2回に倍増すると、上達は2倍ではなくそれ以上になりやすいです。
そうなってくると、スクールでクラスが上がったり、クラス内で一番うまくなったりして、試合経験を通じて今度は選手クラスや、移籍など、、、ここで年齢とボールの乖離が生じてきます。
選手クラスの子たちの成長実態
選手クラスに入って上位を目指す選手、保護者が経験者でよくわかっている家庭も最初はレッドやオレンジなど、スタートは同じ。ただ、それぞれ年齢や成長過程は異なります。
小学校2年生ぐらいでイエローを打つ子もいますが、特段の事情がなければ、焦らず体の成長に適したボールを使うべきです。小さな子がイエローで上級生の強い球を受けると手を痛めます。
無理ない範囲で、テニスの開始時期別に、早期上達に応じた移行事例を示しておきます(標準的な身長・体重の成長を前提)。
ボール\開始時期 | 幼児 | 小学1年生 | 小学2年生 | 小学3年生 | 小学4年生以上推奨年齢 |
---|---|---|---|---|---|
レッド | 開始 | 開始 | ここからでも良い | – | – |
オレンジ | 初めて1年後以降目安 | 程なく移行 | 適正 | 適正 | ここからでも良い |
グリーン | 小学2年以降 | 小学2年後半~3年 | 小学3年以降 | 小学4年以降 | 適正 |
イエロー | グリーン1年以上、成長による | グリーン1年以上、成長による | 成長による | 成長による | 成長による |
ポイントは下記です。
・スタート時はただ楽しく。低学年はボールにこだわらず。
・開始時期が遅いと、上に上がる期間も短くなる。
・広いコートででき、手にも優しいグリーンの時期は有用。大きい大会で腕試し。
・低学年でのイエローへの移行初期は、近い年代の子と。
始める時期が遅ければ、ボールがたとえレッドでもすぐに上達し、すぐ上のクラスにあがります。
最初のクラス分けが想定と違っても焦る必要はないです。それよりもテニス環境が楽しく、子供が楽しいと思えているかどうかがずっと大事。特に背伸びしてしまうと、下の年齢の子に得意げにコテンパンにされてしまい、やる気を喪失してしまう恐れがあります。これは本当に勿体ない。最初はレベルが低い環境で楽しく。狭い世界で自分が強いと勘違いる状態でもOKです。
オレンジボールになると、まだコートが狭いものの、レッドと違って通常のテニスコートで練習するため雰囲気がガラッと変わります。ここではサーブも習い、試合ではまず入るかどうかが重要となってきます。サーブは非常に差が付くポイントです。必要に応じてしっかりしたコーチに、プライベートレッスンでフォームをしっかり固めていただくのも有用です。
グリーンボールに移行すると、オレンジと比べると球がだいぶ早く感じます。テニスコートを広く使うので、ここからのサーブの感覚などすべての経験はイエローでも活きます。小学校2年生あたりでグリーンに移行する子は早い方かつ珍しくもないですが、ここからイエローに早期移行する必要は、ご自身で固まった戦略がない鍵限り、特段ないと考えます。
グリーンは腕を痛めるリスクを抑えつつ、ある程度長い練習時間をこなすことも可能です。
また、グリーンからはU10の関東ジュニア(2024年から新設)や石黒杯U10など大きな大会もたくさんあります。トップ層は先にイエローに抜けていなかったりするのも事実ですが、これらは間違いなく格式高い大会ですから目標にするのも良いでしょう。2025年秋はWILSONが協賛するNEXT HERO TOUR も規模が大きく、注目を集めそうです。
イエローへの移行時期はまちまちですが、超早くて2年生(参考にはしない方が良い)、3年生でも早い、4年生も早いが選手層では標準という認識でいます。公認大会は大きな6年生も混じってくるので、怪我には気を付けてください。
イエローに早期移行した場合、スポ人のGROWINGでU9対象でイエローの試合を定期的に行っています。
上記サイトの大会検索にて「GROWING」で検索するとたくさん出てきますので、U9で募集している大会を選びます。
需要に応えて2024年から新設したとのことですが、U9かつイエローに絞った機会は少ないため、低学年でイエローに移行した子の腕試しとしては最良です。
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